かえるのプログラミングブログ

プログラミングでつまずいたところとその解決策などを書いていきます。

11-12日目 [2020] THE U.S. LABOR MARKET DURING THE BEGINNING OF THE PANDEMIC RECESSION

こんばんは、kaerururu です。

個人プロジェクト 100DaysOfHealthEconomics, 11-12日目の記事です。

論文一本読了してからブログ書く運用に変更します。


11, 12 日目

この論文を読んでました。

メモは以下

github.com

メモ抜粋

  • この論文では、米国最大手の給与処理会社の週次管理給与データを用いて、世界的なCOVID-19パンデミックが発生した最初の4ヶ月間の米国の労働市場の変化を測定し、考察していた。

  • その結果、論文公開時点で雇用は不況期前の水準の 13% を下回ったままであり、過去の不況期でつけた 7% をさらに下回るものであった。

  • 大恐慌以来最悪の雇用減少を経験しているだけでなく、雇用増加のペースも著しく鈍化している

  • この雇用損失が、中小企業や低賃金労働者に不釣り合いに集中していることを浮き彫りにしている

  • さらに、パンデミック・リセッションが離職しなかった労働者の賃金にどのような影響を与えているかということについても発見があった

  • 雇用調整と賃金調整の両方が過去の不況期と比較して大きいことを示唆している。

感想

  • 雇用の減少が最も大きかったのは、実質的な対人関係を必要とする業種 (「宿泊・食品サービス」「小売業」) であり、一方で、金融・保険のような高学歴労働者を雇用する産業では、当初の雇用の減少幅が小さかった。
  • 賃金分布の下位 5 分位の労働者は、3 月初旬から 4 月下旬までの間に 37%という雇用の減少を経験 賃金分布の上位5分位の労働者の雇用は4月末まで10%減少していた。
  • 若年労働者は不況の初期に離職する可能性が高く、若年労働者は系統的に賃金が低い。

といったことが数値で示されており、直感に近い結果だなと感じた。

米国で実際どうだったのかはわからないが、「高学歴労働者を雇用する産業」の雇用減少が抑えられたのは、事務職のリモート勤務の広がりによるものも大きかったのではないかと考察している。

日本でのリモート勤務を支えた zoom は米国初の企業であり、本論文の検証開始時期である 2月中旬 (2/14) の株価が 90.95 USD に対し、論文公開時点の 6月中旬 (6/15) では 239.02 USD まで株価をあげていることから、本国である米国でもリモート勤務が広がっていたといってもいいだろう。

一方で、実質的な対人関係を必要とする業種では直接的なサービスを提供する都合上、リモート勤務といった形態での雇用継続が難しく、業務継続不可能 --> 解雇 となってしまうのも頷ける。つまり、サービス業の雇用の減少が大きかったというよりは、事務職の柔軟な対応により、雇用減少を抑えられたという見方ができそう。

若年労働者についても、解雇させやすい非正規雇用の割合が人口比で高い? (調べていない) ため、相対的に大きくなっているという見方ができそう。

今回のパンデミックによる離職がサービス業や小売業に打撃を与えているのに対し、過去の不況では建設業や製造業に打撃を与えていたというのも興味深い。

また、復帰 (再雇用) についても言及があり、再雇用のみでなく新規雇用にもインセンティブがあるのだという。

これまで、感染症下での経済活動を SIR モデルを労働・消費の際にも状態遷移するように拡張したものをみたが、 この数値から、労働者の従事している業種をもモデルに組み込むことでより実態に即したモデルを構築できるのではないかと考える。


以上です。ありがとうございました。