かえるのプログラミングブログ

プログラミングでつまずいたところとその解決策などを書いていきます。

22-25 日目

こんばんは、kaerururu です。

個人プロジェクト 100DaysOfHealthEconomics, 22-25日目の記事です。


以下の2本を読みました。

[2020] The Effect of Stay-at-Home Orders on COVID-19 Infections in the United States

[2020] The Responses of Consumption and Prices in Japan to the COVID-19 Crisis and the Tohoku Earthquake

1本目については、これまで読んできたもので得た知識以上の発見はなかったかな、という感じでした。

2本目については、なかなか面白かったので感想などを以下に。

メモはこちら

github.com


どんなもの?

  • COVID-19ショックと2011年3月に日本を襲ったもう一つの大規模な自然災害である東北地方太平洋沖地震に対する消費と価格の反応を比較

  • 需要ショックか供給ショックなのかについて考察

感想など

  • コロナウイルスショックとこれまでの金融危機との違いの概説が丁寧だった

    • これまでの経済危機は少なからず人為の積み重ねによるものだったのに対し、突発的に発生したものだから先が読めない

    • ウイルスから身を守るために、人々の動きがモノやサービスの需給を無視した動き ie: 予約が取りにくい人気のレストランなどが空席になっていても、気軽に楽しめないなど

  • 金融危機震源地がきっぱり定まらない点

    • これまでは銀行業だったが、F2F 産業全般になっている、今後これらの産業が不渡りを起こすなどで金融危機に繋がる可能性もある
  • 経済への影響を見るためにクレジットカードの取引ログ (需要) と スーパーの POS ログ (供給) を見ていたこと

  • 買いだめについて、将来のインフレ期待によるものであるという一文があったが、こちらについては感染予防のために外出回数を減らしている側面の方が強いのではないかと感じた


以上です。ありがとうございました。

18-21 日目 [2020] OPTIMAL TARGETED LOCKDOWNS IN A MULTI-GROUP SIR MODEL

こんばんは、kaerururu です。

個人プロジェクト 100DaysOfHealthEconomics, 18-21日目の記事です。


18-21 日目

この論文を読みました。

メモは以下

[2020] OPTIMAL TARGETED LOCKDOWNS IN A MULTI-GROUP SIR MODEL · Issue #19 · osuossu8/paper-reading · GitHub

概要

  • 感染率、入院率、致死率がグループ間、特に「若年者」、「中年者」、「高齢者」の間で異なる多グループSIRモデルにおいて、標的型ロックダウンを研究
  • 既存のエビデンスでは、年齢層間で入院率と死亡率に非常に大きな差があることが示されているため、標準的なSIRモデルに複数のリスクグループを導入する一般化はCOVID-19パンデミックの文脈において重要である
  • 全体的に、グループ間の相互作用を減らし、感染者の検査と隔離を増加させる手段と組み合わせたターゲティング政策は、我々のモデルでは、経済的損失と死亡者数の両方を最小限に抑えることができる

感想

  • 標的型ロックダウンについての論文は少し前にも見たが、こちらの論文は若年層と高齢層のグループマッチング (インタラクション) にも焦点を当てて考察をしている。
  • ロジカルに考えると、高リスクのグループと低リスクグループを分けてターゲティングしようというのは尤もな施策と言えるが、本日発表されたような一様政策の施策ばかりで、"特定の層をどうこうする" というような政治的判断は難しいようだ。
  • 以下引用で例示されているような、日用品の買い出しのような必要な外出についてグループ施策を打つというのは難しいのだろうか
例えば、高齢者の親族との面会を一時的に減らしたり、老人ホームをより良く保護し、異なる人口層が食料品店や薬局に行く時間帯を分離するような規制によって、高齢者層とそれ以外の人口との間の「社会的距離」を拡大することで、死亡者数を人口の0.02%まで減少させ、経済的損害を1年間のGDPの約7%まで削減することが可能である
  • ここまで比較的新しめの論文、それに引用被引用されている論文、過去疫病事例を扱った論文などを読んできたが、今現実で起きている事象に対する施策と一致しているとは言い難い。次回以降で、実際に政治家の人が言う "専門家" がどんな論文に当たってどのような提言をしているのかという観点で見ていきたい。

20日経過しての感想

  • 20日で 9本の論文を 「読んだ」。連続で2日はサボってはいけない (= 最悪 1日おきにやればいい) といった縛りが自分にあっており、程よい負荷を感じながら継続できている。
  • この企画は英語を読むことに重点を置いていないため、基本 DeepL --> 和訳からポイントっぽいところを github にメモするというような運用で進めている。20日も続けると、DeepL の扱いに長けてきた笑。
  • 最初はそのドメインの用語や思考法、先行研究などもちろんちんぷんかんぷんなのだが、継続の力か、自分でこういう考慮が足りていないのではないかと考えてみたり、それが後に読んだ論文で考慮されていたり強くて New Game 感が面白い。
  • 一方で、9本読んでみて 自分がこの企画を始めるきっかけになった疑問の半分超は知識として入ってきた実感がある。つまり、飽きてきた。周りを見ても 別の人が 30 Days で似たようなことを始められていたりしているのを見ては、100日はしくじったかななどと思う毎日である。やるといったからには 100日続けるつもりだ。
  • 付随して "論文を読む" という行為に良い意味で慣れてきたことで、kaggle や業務で論文を読む時に、斜め読みして必要な情報を取得するスピードの向上を感じている。
  • 概して、現時点でやってよかったと思える具合には良い負荷になっている。
    • まだ 20% 頑張っていきます。

以上です。ありがとうございました。

16-17 日目 [2016] Beyond GDP? Welfare across Countries and Time

こんばんは、kaerururu です。

個人プロジェクト 100DaysOfHealthEconomics, 16-17日目の記事です。


16-17 日目

この論文 を読んでました。

メモは以下

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感想

今回は少し毛色を変えて、より経済学色の強い論文を読んでました。これまで読んだ医療経済の論文に引用されていたものです。

主題は、一人当たり GDP では測りきれない、国民生活の豊かさを測るための新しい指標を提案する。といった内容です。

余暇、不平等、死亡率、罹患率、犯罪、自然環境などは、国内の生活水準に影響を与える主要な要因の一部ではあるが、GDPには不完全に組み込まれており、一人当たり GDP の多寡では一様に比べられないよねということです。

より良い暮らしができるところに移住したい人がいた時に同じ条件だったらどこの国に移住するかというような仮想の問題について考察していました。

フランスとアメリカを比べた時に、一人当たりのGDPはフランスの方が著しく低いが、フランスの方が労働時間が少なく、余暇時間が長い、平均寿命も長く、不平等も少ない。こうした場合にどちらの国民の方が豊かか?と問う点に面白く感じました。

また面白いなと思ったのは、日本は絶賛「失われた 20年」などと言われているが、所得ではなく提案する福祉という点で考えると成長しており、その伸びはアメリカより高いという。所得成長率は年平均2.0%強であるが、平均寿命の伸び、対GDP比での消費の伸び、レジャーの伸びを考慮すると国民の豊かさ (そこに住むことで得られる満足度指標?) は成長しているのだという。

こういった観点は経済学者の間では割と常識らしくそういう観点に触れられたのは学びだなと思いました。


以上です。ありがとうございます。

15 日目 [2007] Pandemic influenza: Studying the lessons of history

こんばんは、kaerururu です。

個人プロジェクト 100DaysOfHealthEconomics, 15日目の記事です。


15 日目

この論文 を読んでました。

メモは以下

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感想

  • 前日までと同じインフル論文や〜と思って読んだらサーベイ論文だった

  • 過去のデータによる傾向を現在に当てはめようとする場合に、当時と現在との違いについて考慮した方が良いという指摘があってそれは納得感があった

  • 具体的には、以下の観点

    • グローバル化が進む今日の世界では、インフルエンザ感染の潜伏期間内に地球を一周することができてしまう

    • 都市化が進んでいる (都市の肥大化、住民の密度の過密化)

    • 一般的に、多くの人々が毎日大都市に通勤するようになった

    • 世帯構成にも違いがあり、一人親世帯や両親が共働きの世帯が増えており、学校を閉鎖することは、1918年に比べて現在の状況では、多くの人にとってはるかに負担が大きい

  • 特に、緊急事態宣言時にお子さんがいる方が仕事にならないと仰っていたのは記憶に新しかった


少なめですが、以上です。ありがとうございました。

13-14 日目 [2007] Public health interventions and epidemic intensity during the 1918 influenza pandemic

こんばんは、kaerururu です。

個人プロジェクト 100DaysOfHealthEconomics, 13-14日目の記事です。


13, 14 日目

この論文 を読んでました。

メモは以下

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メモ抜粋

  • この論文では 1918年のインフルエンザによるパンデミック時に米国の17都市で19のクラスのNPI (感染世帯の自主的な検疫、学校の閉鎖、集会の禁止 といった行政主導の政策) が実施された時期に関するデータを入手し、複数の介入の早期実施が疾病伝播の減少と関連しているという仮説を検証した。
  • 流行の初期段階で複数の介入が実施された都市のピーク死亡率は、実施されなかった都市に比べて50%低く、流行曲線も緩やかであった。
  • 効果的なワクチン (非感染集合における効果的な対策、無ければこれらの集合はいずれにせよ罹患してしまうので流行を遅延させる効果が得られるにすぎない) がない場合において、流行の第一波がすぎたタイミングで介入緩和してしまうと、第二波が発生してしまうことがわかった。(統計的に有意)

  • 第1波と第2波のピークの高さには統計的に有意な逆相関があり、第1波のピークが低かった都市は第2波が大きくなるリスクが高かった。

  • 第1波のピーク時の死亡率が低かった都市では、第2波の発生間隔が短く、第1波のピークから6~8週間後であったのに対し、ピーク時の死亡率が高かった都市では10~14週間後であった。
  • どのタイミングで介入緩和するのがベストかはまだわかっていない。

感想

  • 過去の疫病流行時に政府による介入政策の実施および介入緩和の効果と影響をはじめて統計的数値を用いて考察した論文
  • 驚いたことに、10年も前に考察された100年も前の状況とさして変わっていないことに驚いている (ワクチンがない状況においては social distance くらいしか取れる手段がなかったり、介入によって多少の効果は見られるが、効果があったからといって介入をすぐやめてしまうと第二波がくることなど)
  • まさに日本でも 4-6 月の緊急事態宣言によって第一波は抑えられたように見られるが、12月現在、毎日の新規感染者数は大幅に増加しており (700人とかか) これは本論文で言う所の第二波と状況が一致しているといえるのではなかろうか
  • 介入緩和の時期に関しては、直近読んだ論文 (2020年のもの) にも明確な答えはなかった (少なくとも、ワクチンが開発されるまでは介入を続けないと遅延行為でしかないとはあった) 。
  • 扱ったデータや手法については、勉強になる点が多々あった。

以上です。ありがとうございました。

11-12日目 [2020] THE U.S. LABOR MARKET DURING THE BEGINNING OF THE PANDEMIC RECESSION

こんばんは、kaerururu です。

個人プロジェクト 100DaysOfHealthEconomics, 11-12日目の記事です。

論文一本読了してからブログ書く運用に変更します。


11, 12 日目

この論文を読んでました。

メモは以下

github.com

メモ抜粋

  • この論文では、米国最大手の給与処理会社の週次管理給与データを用いて、世界的なCOVID-19パンデミックが発生した最初の4ヶ月間の米国の労働市場の変化を測定し、考察していた。

  • その結果、論文公開時点で雇用は不況期前の水準の 13% を下回ったままであり、過去の不況期でつけた 7% をさらに下回るものであった。

  • 大恐慌以来最悪の雇用減少を経験しているだけでなく、雇用増加のペースも著しく鈍化している

  • この雇用損失が、中小企業や低賃金労働者に不釣り合いに集中していることを浮き彫りにしている

  • さらに、パンデミック・リセッションが離職しなかった労働者の賃金にどのような影響を与えているかということについても発見があった

  • 雇用調整と賃金調整の両方が過去の不況期と比較して大きいことを示唆している。

感想

  • 雇用の減少が最も大きかったのは、実質的な対人関係を必要とする業種 (「宿泊・食品サービス」「小売業」) であり、一方で、金融・保険のような高学歴労働者を雇用する産業では、当初の雇用の減少幅が小さかった。
  • 賃金分布の下位 5 分位の労働者は、3 月初旬から 4 月下旬までの間に 37%という雇用の減少を経験 賃金分布の上位5分位の労働者の雇用は4月末まで10%減少していた。
  • 若年労働者は不況の初期に離職する可能性が高く、若年労働者は系統的に賃金が低い。

といったことが数値で示されており、直感に近い結果だなと感じた。

米国で実際どうだったのかはわからないが、「高学歴労働者を雇用する産業」の雇用減少が抑えられたのは、事務職のリモート勤務の広がりによるものも大きかったのではないかと考察している。

日本でのリモート勤務を支えた zoom は米国初の企業であり、本論文の検証開始時期である 2月中旬 (2/14) の株価が 90.95 USD に対し、論文公開時点の 6月中旬 (6/15) では 239.02 USD まで株価をあげていることから、本国である米国でもリモート勤務が広がっていたといってもいいだろう。

一方で、実質的な対人関係を必要とする業種では直接的なサービスを提供する都合上、リモート勤務といった形態での雇用継続が難しく、業務継続不可能 --> 解雇 となってしまうのも頷ける。つまり、サービス業の雇用の減少が大きかったというよりは、事務職の柔軟な対応により、雇用減少を抑えられたという見方ができそう。

若年労働者についても、解雇させやすい非正規雇用の割合が人口比で高い? (調べていない) ため、相対的に大きくなっているという見方ができそう。

今回のパンデミックによる離職がサービス業や小売業に打撃を与えているのに対し、過去の不況では建設業や製造業に打撃を与えていたというのも興味深い。

また、復帰 (再雇用) についても言及があり、再雇用のみでなく新規雇用にもインセンティブがあるのだという。

これまで、感染症下での経済活動を SIR モデルを労働・消費の際にも状態遷移するように拡張したものをみたが、 この数値から、労働者の従事している業種をもモデルに組み込むことでより実態に即したモデルを構築できるのではないかと考える。


以上です。ありがとうございました。

10日目 "疫病制御の分散効果" 4, とここまでの感想語る

こんばんは、kaerururu です。

個人プロジェクト 100DaysOfHealthEconomics, 10日目の記事です。


10日目

本日は、この論文 を読み終えました。いやあ長かった。

github.com

この論文では、エージェントを高齢者、基礎セクター従事の若者、高級セクター従事の若者の 3グループに分けます。これらのグループは、政策計画者が取る政策によって得られる利益とコストが相反するものとします。

様々な条件設定の元、モデルシミュレーションした結果、

  • 高齢者重視 ・若者の労働者が働かないように厳しいロックダウン政策を敷くのが良い ・若者にとっては自身の健康状態が発病状態より重篤でない限り、労働して消費活動を精力的に行った方が得られる利潤が高い (つまり潜在状態、感染しているが発病しない場合は市場に出てくる) ・高齢者はそもそもの感染率と死亡率が高いため ロックダウンによって得られる利潤が大きい (感染している人が市場に出てこない方が嬉しい)

  • 若者重視 ・高齢者のみを隔離するのが良い ・若者も一定の確率で感染するが、死ぬ確率が高齢者より低いので、自分たちの影響で病気をうつしてしまう対象である高齢者が市場に出てこない方が、得られる利潤が大きい ・このモデルでは高齢者は働かないので、高齢者をロックダウンしてしまうことによる経済へのダメージは小さい (隔離されるので感染する確率も下がる)

という結果になった。

感想
  • 若者と高齢者で利益相反を起こすので、計画者のさじ加減でどちらに利益のある政策が実施されるか決定される

  • これは、計画者への利潤 (ここでは設定されていない) を最大化するような政策が決定される状況が想定される

  • 疫病如何の文脈とずれるが、昨今若者の投票率が低いために、高齢者重視の政策が決定されているというような状況を耳にする。

  • このケースだと、高齢者重視の政策が選択されそう。

  • 個人的には、全員一斉に自粛させるより、年齢などの属性で重み付けして実行する方が理にかなっているようにも思える。


10 日目までやった感想

ここからはポエムです。

以下のような感じで進んでいます。

  • 論文 4本読了
  • 連続更新日数 7日 (トラブルで一日更新できなかった。尚2日連続でサボっていないのでセーフ)

短い論文は 1日で読めるよう頑張ってますが、あまりに斜め読みがすぎるとやってる意味が薄れるので長いものは無理なく分割して読んでます。

あと 90日もあると思うとなかなかしんどいですが、

  • twitter でやるぞ宣言すると自分への強い制約になる (サボって自分との約束も守れない奴認定されないように頑張るぞってなる)
  • 執筆体力、文章を読む体力が多少ついてきている感じがする
  • 同じドメインの論文をずっと読んでいると、ここの仮定をもう少し変えたらええんでない?みたいな自分の仮説みたいなのが構築される

といったメリット (成長) がありました。

デメリットとしては、

  • kaggle みたいなこれまでがっつり時間をかけてたものにかける時間が減った
  • 毎日更新しなければのプレッシャーがやばい

あたりでしょうか、まあ kaggle は脳死で手を動かして手がかりを見つけるようなスケールしない運用から限られた時間で結果出すために仮説ベースで手を動かす練習にいい気もしれます。

自身にかかるプレッシャーは思いの外大きいです。毎日自分の甘えと戦い乗り越えて強い男になれるようあと90日精進します。


以上です。ありがとうございました。